
建国からたった50年ほどで、東南アジア有数の近代国家となったシンガポール。
シンガポール建国の父・リークワンユー率いる、逸脱な国家戦略が功を奏して、この短い時間の中であれだけの高水準の国を作り上げることができたと言われています。
しかしながら、急速な国家成長には、多様な国籍の移民を受け入れる中で確実に規律を守らせるよう、細かなルールを制定し法律で徹底している、ということも理由の一つとして挙げられると思います。
今回はそんなシンガポールの、ちょっと厳しすぎる(細かすぎる?)法律について、紹介したいと思います。
シンガポールの極刑が科せられる罪って?
まずは一番重大な罪である、極刑が科せされる罪について紹介していきましょう。
日本で死刑というと、殺人、それも複数の人数を殺害している場合に適用することが多いイメージですが、シンガポールだともっと幅広い罪に対して死刑が科されます。
- 殺人
- 無実の人間を死刑にする偽証
- 政府に対して戦争を起こす、もしくは大統領に対して反逆罪を起こす
- 麻薬の所持・製造
- 銃火器を売買目的で所持、発泡
殺人や無実の人間を死刑にする偽証は言わずもがなですが他を詳しく見てみましょう。
政府に対して戦争を起こす、もしくは大統領に対して反逆罪を起こす
とてもスケールの大きなことなので、なかなか起きることはなさそうですが、こういった行為にも問答無用で死刑が科さられます。
シンガポールが「明るい北朝鮮」(国自体は華やかでイメージも良く繁栄しているけど、独裁国家である、ということ)と揶揄されるのも、無理はない気がします。
麻薬の所持・製造
シンガポールでは麻薬の製造はもちろん、一定量以上を密輸しても死刑になります。
量の規定は下記の通り。
– アヘン:1200グラム以上
– 大麻:500グラム以上
– モルヒネ:30グラム以上
– コカイン:30グラム以上
– ヘロイン:15グラム以上
これらの一定量に満たなかった場合は、死刑は免れるものの、無期懲役や禁固刑、もしくは鞭打刑が処されます。
麻薬の製造だけでなく、密輸にも死刑が科される、ということは、たとえ自分に悪意がなくても、麻薬売買人などに騙されて、知らず知らずのうちに運び屋になってしまう、というような事件に巻き込まれた時ですら、死刑を科されてしまう(可能性が高い)ということなので、十分気をつけていただきたいと思います。
銃火器を売買目的で所持、発泡
銃の個人携帯を許している国もあることを考えると、シンガポールでこの行為は死刑に値するということはとても厳しいように感じます。
ちなみに、死刑の方法としては絞首刑が採用されています。
シンガポールの街をクリーンに保つための法律
シンガポールは、街歩きをするとすぐに感じることができますが、ゴミ一つ落ちていない綺麗な国です。
ただ、そのようなクリーンな国家になった背景には、街を清潔に保つための徹底した法律が存在します。
具体的には、下記のような禁止事項があります。
- ゴミのポイ捨て
- ガムの持ち込み
- 落書きや破壊行為
- トイレの水を流さない
- つばを吐く
ゴミのポイ捨て
普段ポイ捨てをしている人を見かけたことがないほど、シンガポール国内でそれなりに徹底されている禁止事項だと思います。
ゴミを持っていてもすぐに捨てられるよう、街のいたるところにきちんとゴミ箱が設置されています。
破った場合には罰金が科され,1回目で2,000ドル、2回目で4,000ドル、3回目には10,000ドルとどんどん上がっていきます。
ガムの持ち込み
こちらもおそらく、ポイ捨てを懸念しての禁止事項かと思います。
お店などではガムを見かけないので、ガムが好きな人にとっては少し辛い禁止事項かと思います。
持ち込んだり、噛んだりしているのがバレたりした際は、罰金もしくは2年以内の禁固刑が科されるとのことです。
落書きや破壊行為
モラル的に当たり前ですが、所有者の許可なしに私有物に落書きを行ったり破壊行為を行ったりしてはいけません。
罰金だけでなく、禁固刑や鞭打ち刑が科される場合があります。
トイレの水を流さない
当たり前ですが、特にトイレの個室に監視カメラがあるわけでもないので(笑)、どうやって検知するのかは全く不明ですが、トイレの水を流さないという行為にも、30ドルだけですが罰金刑が科されます。
多くの国から移民を受け入れているシンガポール。
その中には、特に新興国の人など、トイレの水を流す習慣がない人たちもいることが考えられるため、法律として規制し始めたのだと考えられています。
つばを吐く
公共の場でつばを吐く行為は、1,000ドル以下の罰金が科されます。
日本人だとあまり考えられませんが、国によっては日常的につばを吐く人が多いところもあるので、そのような人たちに向けての対策だと考えられます。
公序良俗を保つための法律・禁止事項
これらの禁止事項には以下のものがあります。
- 映画でのヌードシーンや暴力シーン、薬物使用シーン
- 自宅内でも、外から見える場所での裸になる行為
- 深夜10時半以降のお酒の販売
- 選挙の投票に行かない
- 喫煙禁止エリアで喫煙
- 同性愛
- MRT(シンガポールの地下鉄)での禁止事項
- ISA(国内治安維持法)
映画でのヌードシーンや暴力シーン、薬物使用シーン
れらのシーンは、ものによりますが、排除して配信されるのが徹底されています。
自宅内でも、外から見える場所での裸になる行為
公共の場で裸になるのは、日本でも罰せられる行為ですが、自宅内でも罰せられることがあるとは驚きです。
まあ、もちろんたとえ家の中であっても、外の人からも見える状態であれば、公共の場所で裸になるのと一緒ですが。
破った場合は、2,000ドル以下の罰金もしくは3か月以下の禁固刑、またはその両方が科されます。
深夜10時半以降のお酒の販売
ええ!?と思われてしまうかもしれませんが、これはスーパーやコンビニでの販売が禁止されるということで、ライセンスを持ったレストランなどでは、10時半以降も飲酒することができます。
深夜は、決められた場所以外で飲酒しないように注意しましょう。
破った場合は、罰金1,000ドルが科されます。
選挙の投票に行かない
投票に行かないと、選挙権を没収されてしまいます。
日本だと投票率が低いので、多くの人が没収されてしまいそうですね(笑)
喫煙禁止エリアで喫煙
喫煙禁止エリアで喫煙してしまった場合は、1,000ドル以下の罰金が科されます。
同性愛
こちらは、現代の社会の流れと反している法律でびっくりしてしまいますが、シンガポールの法律では禁止されているようです。
MRT(シンガポールの地下鉄)での禁止事項
多くの人が利用する公共機関であるMRTでも、細かな禁止事項が存在します。
主な禁止事項と罰則は下記の通りです。
– 飲食:罰金500ドル
– 喫煙:罰金1,000ドル
– 可燃液体の持ち込み:罰金500ドル
– ペットなど動物の持ち込み:罰金500ドル
– ドリアンの持ち込み:罰金500ドル
MRTについて詳しく知りたい方は以下の記事を合わせて確認してみて下さいね。
5人以上でデモを行うこと
国によっては頻繁に行われているデモも、シンガポールでは罰せられてしまいます。
もちろんケースバイケースですが、政府への反逆者のどんなに小さな芽も徹底的に摘むという考え方は、先に記載した通り「明るい北朝鮮」を思わせるような禁止事項ですよね。
ISA(国内治安維持法)
被疑者を逮捕状なしで拘束、裁判なしで拘禁できる法律です。
これも独裁的な政治を保つための法律の一環だと 考えられますが、実際のところは不明です。
まとめ:シンガポールの法律
いかがでしたでしょうか?
安全でクリーンなシンガポールを保つために、かなり細かいところまで規制されているのは、シンガポールの特徴の一つと言えますね。
気を抜いてしまうと、ついつい破ってしまうような禁止事項も多いので、シンガポールにお越しの際は、こういった法律を守るよう気を遣いつつ、観光するようにしてくださいね!