シンガポールで働く上で、福利厚生やボーナスなどについては気になるところですね。
シンガポールでの福利厚生は企業によって様々ですし、駐在員か現地採用かによっても大きく違ってきます。
交渉も可能だとされていますので、あらかじめ確認しておくといいですね。
ここでは、シンガポールの福利厚生にはどんなものがあるのか、固定ボーナス制度などについて、シンガポールの仕事環境も合わせてお話しましょう。
福利厚生
企業によって、また駐在員か現地採用社員かによって、福利厚生の内容は大きく違います。
一般的な制度をお話しましょう。
有給休暇(Annual Leave)
雇用法では、勤続1年で7日間の休暇付与が定められています。
多くの企業では年間10-15日、日系企業では年間14-18日が一般的です。
中には、年間21日もある企業もあるのだとか。
余った有給休暇を翌年に持ち越せるかどうかなどの規定も、企業によって違いますので確認しておきましょう。
病気休暇(Sick Leave / Medical Leave)
病気や体調不良の治療の際に取得できる休暇です。
病気休暇を取るには、医師の証明書(Medical Certificate)が必要なので、その日に受診する必要があります。
続けて数日休む場合は、証明書にその日数を記入してもらいます。
一般的には、年間14日間の病気休暇を取得することができます。
また、入院が必要な場合には、最大60日間の入院休暇(14日間の通院休暇を含む)が付与されます。
医療保険(Medical Insurance)
会社が、従業員のために医療保険を用意していることが一般的です。
補償内容については、各企業によって異なります。
保険に加入している場合は、指定のクリニックを利用ですることが条件で、全額あるいは一部を会社が負担します。
年間の補償上限金額が定められている場合もあります。
日系の企業の殆どは、日系保険会社の海外旅行保険を使用しています。
その場合、一つの診断名では補償期限が半年で切れてしまうものが多いため、長期に受診が必要な場合は注意が必要です。
補償期限が過ぎてしまった場合は、自己負担になる可能性がありますので、事前に確認しておきましょう。
シンガポール人やPR(永住権)保持者の場合は、個人負担としてMedisaveという政府の制度に加入しています。
歯科治療
歯科治療をカバーしている保険に加入している場合は、費用を会社が負担します。
保険が適用できる治療は、一部に限られていることが多いです。
インプラントなどの審美歯科治療には利用できません。
シンガポールでの一般的な歯科治療は、日本よりも高額です。
反対に、インプラントや歯列矯正などは、日本よりも比較的安くできることもあるようです。
出産手当・休暇(Maternity Leave)
子どもがシンガポール国籍の場合は、少なくとも16週間(産前4週、産後12週)その他の国籍の場合は、12週間(産前4週、産後8週)の出産休暇が母親に対して付与されます。
会社によっては、出産手当金を支給する場合もあります。
育児休暇制度はありません。
出産を機に退職する人もいますが、シンガポールではメイドや保育園などが利用しやすく、母親が仕事に復帰するための環境が整っています。
労災補償(Workmen’s Compensation Act)
日本では、労災保険に当たる制度で、法律によりほぼすべての労働者が補償の対象になります。
就業中の事故による障害や病気に対して、休業補償、医療費補助、一時金の支給が受けられます。
住宅手当(Housing allowance)
トップマネージメントや駐在員に対しては、会社が家賃を全額あるいは一部負担することが多いです。
現地採用の場合は、全額自己負担が一般的です。
年々、家賃は上昇していましたが、最近は頭打ち状態で、ピークよりは安くなったといわれています。
交通費手当
公共交通機関の運賃が安いため、交通費手当を支給する企業は少なく、支給がある場合でも固定支給あるいは実費精算となります。
深夜や早朝の出勤・帰宅にかかる交通費を支給する会社もあります。
固定ボーナス「AWS」
シンガポールには、最低賃金に関する規定はなく、National Wages Councilが毎年6月に賃金関係のガイドラインを策定し、それをふまえて労使交渉が行われるのが通例です。
また、シンガポールの独自の習慣として、AWS(Annual Wages Supplement)と呼ばれる年に1回の固定ボーナス(月額給与の1ヶ月分)があります。
AWSの支給は義務的なものではなく、シンガポールの習慣ですが、政府が支給を奨励しています。
賞与(変動ボーナス)
日系企業・外資系企業では、AWSに加えて、業績連動ボーナスを支給する企業もあります。
一般的に、基本給の1-2ヶ月分です。
シンガポールの仕事環境
シンガポールの全体的な仕事環境のイメージを、少しだけお話しましょう。
成果重視
シンガポールは、非常に成果を重視します。
当たり前なのですが、シビアな側面があります。
成果が出せないと解雇もありえますし、産休で休んでいても規定の日数を休んだら、戻らないとポジションがないなんてもこともあります。
産後のお母さんたちもせっせとメイドや保育園を探し、仕事に戻って行きます。
厳しいビザ事情
シンガポールは、あらゆる側面でアジアのハブとなっています。
様々な業種の仕事があり、外国人もかかわっています。
政府は、人口の調整のために外国人へのビザの厳しい規定を作っています。
高度で専門的な知識やスキルを持つ人材や、高学歴を持つ人材を優先し雇用できるようにしているのです。
2017年からは、就労パス(Employment Pass)申請のために必要である月額最低給与額が、S$3000からS$3600に引き上げられ厳しくなりました。
数年前から、この値上げは段階的に行われています。
突然、ビザの更新ができなくなって、国外退去になるケースもあるのです。
所得税
シンガポールでの所得税は、前年の1月1日から12月31日の収入に対して、翌年の3月頃に政府が税金の計算してくれて、その額の税金を払うことになります。
シンガポールでの勤務日数が183日を超えた場合は、所得税の支払う義務が生じます。
所得税の最高税率は20%です。
段階的累進課税ですので課税所得に対する実質的な税率は、低くなっています。
まとめ
シンガポールは、英語圏で治安も良く、親日家が多い国です。
働きやすそうな側面もあり、そうでない側面もありますね。
固定ボーナスや福利厚生も様々です。
自分の希望に近い条件で仕事ができるといいですね。