
近年、「アジア事業のハブ」として多くの外資系企業や起業家に人気のあるシンガポール。
海外での就職や転職を考えた時に、まず候補の1つとして挙がるのではないでしょうか。
海外での仕事には夢がありますが、同時に不安も多くあります。
どのように始めればいいのか、何をする必要があるのかなど、やはり日本国内での就職活動や転職とは全く異なります。
今回は、ビジネス業界で人気のシンガポールへの就職や転職に関するノウハウをご紹介していきます。
日本とシンガポールの給与
まず、日本とシンガポールにおける給与を比較していきましょう。
国 | 平均年収 |
---|---|
日本 | 約420万円 |
シンガポール | 約384万円 |
上記の表からも分かるように、基本的に、日本人の方々がシンガポールへ就職や転職をした場合、額面上の給与相場は日本にいる場合よりも20%ほど下がるのが基本と言われています。
ただし、シンガポールは税金が日本よりも安いため、最終的な手取りの額には大きな差はないと思われます。
日本人が関わる職種と資質
職種
シンガポールでの就職や転職の際、日本人の方々が関わる職種はどのようなものなのか、平均の給与と併せてご紹介していきます。
職種 | 平均給与 |
---|---|
CEO | 約1,600万円 |
ビジネスコンサルタント | 約550万円 |
IT関連およびエンジニア | 約500万円 |
会計士 | 約420万円 |
旅行代理店(販売員) | 約220万円 |
もちろん、上記の職種以外にも様々なものがあり、一般事務職、ウエイター、秘書、大学講師などが日本人が関係する仕事と思われます。
資質
シンガポールで仕事をするにあたり、必ず求められるのが英語力です。
シンガポール人の英語力は非常に高く、仕事でも欠かせないコミュニケーション・ツールです。
言語面で、問題なく働けることが第1条件となります。
また、外資系企業では、即戦力が求められます。
その分野での専門性や経験が欠かせないものとなっており、大学卒業後すぐに外資系企業に現地採用されるのは、かなり厳しいと思われます。
しかし、その分野での経験が十分にあり、転職を考えておられる方にはそれが武器になるので、是非チャレンジしてみてください。
就職方法
日本の転職会社を利用する
最近では、インターネットでの求人や応募が一般的となっており、シンガポールへの転職も例外ではなく、日本からでも仕事を探すことができます。
以下は、海外転職会社をピックアップしたものです。
会社 | 概要 |
---|---|
カモメアジア転職 | シンガポールをはじめ、アジア諸国と東南アジアへの転職を専門に扱う会社です。あらゆる職種から求人広告を探すことができます。 |
アブローダーズキャリア | こちらも、アジア諸国への転職に特化した会社です。「シンガポール」と検索するだけで、約900件の求人が出てきます。 |
パーソルシンガポール | 日系企業だけでなく、在シンガポールの外資系企業にも詳しい転職会社です。 |
実際に現地へ行く
もう1つの方法は、実際に現地へ行ってしまう、という方法です。
かなりハードルが高く感じますが、実際に行かれて内定された方もおられるので、時間と現地での滞在費用に余裕があれば、是非足を運んでみてください。
30日以内の滞在であれば、ビザは必要ありません。
シンガポール政府のWEBサイトにて申請を行えば、プラス30日の滞在が可能になります。
ワーキングホリデーを利用する
シンガポール以外の国でも、ワーキングホリデーを利用してそのまま現地採用される、という形は多くあります。
シンガポールにもこのワーキングホリデーのシステムはありますが、かなり条件は厳しいものです。
年齢は18歳以上~25歳未満で、世界大学ランキングでトップ200位に入っている大学の学部在学、または卒業が要件となっています。
実際に、実務こなすことでアピールができるワーキングホリデーですが、シンガポールではハードルの高いものと言えます。
会社を設立する
最近のシンガポール人気の理由として、会社に対しての税制待遇が良いため、会社を運営しやすいことが挙げられます。
正直、シンガポールで現地雇用や日系企業の駐在員として働くには、かなりのスキルや英語力が求められるため、多くの方にとっては厳しいというのが現実です。
そこで、ある一定の基準を満たしていれば、就労に関するビザ取得ができるため、自身でビジネスを広げていきたい、という方にはこの方法がベストと言えそうです。
ビザについては、後程、ご紹介いたします。
現地での労働環境や待遇
ここからは、シンガポール内の労働環境や、日本人への待遇をご紹介していきます。
シンガポールで仕事をされる方は、日系企業の現地採用、または駐在員として働かれる場合が多いと思われます。
そのため、会社内では日本国内の労働環境と大差はないと思われます。
各国のグローバル企業で働く場合は、残業などはあまりありませんが、実務をこなせる高い英語力と即戦力を求められ、結果を残せない場合はすぐに解雇される場合も少なくありません。
しかし、給与の面ではより良い待遇で迎えられることが多く、能力を評価されれば非常に働きやすい環境と言えそうです。
ビザ
海外への転職の際、最も重要となってくるのがビザの問題です。
内定が決まったからといって、必ずシンガポールで働くことができる保障はなく、ビザが通らなければ内定は破棄されます。
もともと、先進国の中ではビザは取得しやすい、と言われていたシンガポールですが、シンガポール国民の雇用を確保する点でも、近年はかなり取得できる人の幅が狭まっています。
永住権
永住権を取得できれば、ビザのことに関しては一切気にすることはありませんが、条件が絞られてくるため、多くの方には該当しないと思われます。
- シンガポール国民またはシンガポール永住権保持者の配偶者または21歳以下の子供
- シンガポール国民の両親(年配者)
- 労働ビザの保持者(エンプロイメントパス及びSPass)
- 投資家
3つ目の「労働ビザの保持者」は、労働ビザを取得後、5年~10年間シンガポール国内に住み続けなければ、ほぼ確実に却下されてしまいます。
エンプロイメント・パス(EP)
いわゆる就労ビザと言われるものです。
多くの現地雇用や駐在員の方だけでなく、起業移住を希望される方は、このエンプロイメント・パス、通称EPを取得する必要があります。
条件は以下の通りです。
- 外国人の専門職・マネージャー・経営者
- 月収が最低3,300シンガポールドル(約27万円)
条件は以上ですが、審査が非常に厳しく、年々取得ができなくなっているようです。
各企業も対策として、EPが取得可能な給与額や能力に見合う方のみを採用したり、ビザ取得の必要がない現地の方を雇用したりと、現地就職を目指す日本人には少し厳しい条件となってきています。
S Pass
こちらも就労ビザの1種で、上記のEPを取得できない方に向けたものになります。取得条件は以下の通りです。
- 最低基本月収が2,200シンガポールドル(約18万円)
EPとの違いですが、ビザ取得側にはあまり関係はありません。
しかし、雇用側はシンガポールの政府に「外国人雇用税」を納付する必要があるほか、サービス業関係の会社は全社員の15%以上を、その他の会社は20%以上をシンガポール国民か永住権保持者が占めなければ申請できません。
まとめ
シンガポールは、外資系企業やこれからアジアを舞台に活躍したい起業家の方にとっては、非常に魅力的なところです。
しかし、就職や転職を考えた時、ビザ取得が厳しくなってきていることや、より高い英語力、また即戦力を求められるため、かなり強い武器を持って就職活動に臨まなければ、なかなか良い結果が返って来ないのが現実です。
海外での就職や転職は、間違いなくキャリアアップに繋がりますが、シンガポールは他のアジア諸国と比べ競争率が高い国と言えそうです。
しかし、チャレンジ無くしては、次へは進めません。
アジアビジネスの中心地シンガポールで、新たな1歩を踏み出してみませんか?