
あなたはシンガポールの「ウビン島(Pulau Ubin)」という島の名前を聞いたことがありますか?
ウビン島はシンガポールの北東側、マレーシアとの国境近くのジョホール海峡に浮かぶ、およそ10平方キロメートルの大きさの島です。
シンガポールのイメージは?と聞かれると、その象徴ともいえるマリーナベイサンズがそびえ立つマリーナベイエリアや、その裏のガーデンバイザベイなどの、煌びやかな人工的な建築物を思い浮かべる人も多いと思います。
マーライオンと並んでシンガポールのシンボルとなっているマリーナ・ベイ・サンズの詳細については「マリーナベイサンズ|シンガポールを象徴する人気ホテルの魅力」で確認できます。
そのようなイメージに反して、ウビン島は極めて昔そのままの自然が残されている場所なのです。
その自然そのままの姿を求めて、シンガポリアンや現地在住の外国人などが連日ウビン島に訪れています。
今回の記事では、そのウビン島へのアクセスの仕方や楽しみ方などを紹介したいと思います。
ウビン島の歴史について
まずはウビン島の歴史について、簡単に紹介します。
ウビン島はもともと、1880年代に、マレーシア人が島に定住しコミュニティを作り上げた所から、人の定住が始まりました。
そして花こう岩の採掘場として広く知られていたそうです。
ウビン島で採掘された花こう岩は、シンガポールの建設業界を中心に供給されていました。
花こう岩の採掘場の様子は、John Turnbull Thomsonという方の1850年に描かれた絵画にも表現されていて、そこからもウビン島の歴史が伺えます。
この花こう岩は、シンガポールとジョホールバルを結ぶ、シンガポール-ジョホール コーズウェイの建設時にも使用されました。
残念ながら現在は採掘場は閉鎖されており、植物や自然で覆われているか、水に埋もれてしまっている状態です。
花こう岩採掘以外では、主な産業は農業と漁業でしたが、それも採掘場が閉鎖されたのを機に1970年代には縮小していき、同時にシンガポール本土の発展もあり、2,000人ほどいた住人も、現在ではわずか数十人程度になっています。
そんな中、ウビン島はシンガポールで唯一、都市開発から離れて自然と共にあり、未だに木造住宅や桟橋、のんびりした住人、野生保護動物、朽ちた採石場や農園、そして手つかずの自然が残されています。
ウビン島へのアクセスの方法
シンガポールからのウビン島へのアクセスの仕方はたった一つです。
チャンギ空港の近くにあるチャンギポイントフェリーターミナル(Changi Point Ferry Terminal)からフェリーに乗り、ウビン島へ向かうことができます。
チャンギポイントフェリーターミナルへ向かう方法は、MRT+バスかタクシーの2つの方法があります。
しかしながら、MRT+バスだとダウンタウンエリアから遠く離れているタナメラ駅(Tanah Merah)から路線バス2に乗るか、タンパインズ駅(Tanpines)から路線バス29に乗り、そこから20〜30分かけて終点「Changi Village Terminal」まで行かなくてはなりません。
ここはコストはS$25〜30ほど高くつきますが、タクシーだとダウンタウンエリアから20〜30分ほどで到着するのでオススメします。
チャンギポイントフェリーターミナルからウビン島まではすぐで、約10分。S$3というリーズナブルな価格で乗船することができます。
12人ほどの定員さえ集まれば、船は24時間運行しているようです。
ウビン島へ着いたらまずすることとは
▲筆者が両親とウビン島を訪れた時。両親は二人乗りサイクルを借りていて、連携プレーがとても楽しかったようです!
船でウビン島に到着したら、まず”Main Village”という東南アジアの田舎らしい簡素な作りのお店が立ち並ぶエリアにたどり着きます。
このエリアで、移動手段になるレンタサイクルや、タクシー(貨物を運ぶような、オープンエアーの車)を調達することができます。
特にレンタサイクルは1日あたりS$10ほどで借りられるのでとてもリーズナブルです。
普通の一人乗り用自転車から、二人乗り用のものまで用意されています。
中には、S$2という激安なレンタサイクルもありますが、こちらはあまりにもボロボロなのでオススメしません。。
ウビン島はそこそこ広い島なので、徒歩で散策するよりは、レンタサイクルなど乗り物で移動することをおすすめします。
その他、Main Villegeにはレストランもあるのでここで食事をすることも可能です。
ウビン島にあるレストランはどこも、新鮮なシーフードをシンガポール本島よりも安価な値段で楽しめます!
筆者のお勧めレストランは、「シーズン・リブ・シーフード」。
シーフード始め、中華系料理中心でボリュームもたっぷりです。
少し濃いめの味付けなので、ぜひシンガポールのローカルビールTiger Beerと共に楽しみましょう!
ウビン島の見どころ
ウビン島には魅力的な場所が満載。
その中でもおすすめできる見どころを紹介します。
チェック ジャワ ウェットランド
ウビン島内の小さな半島を囲むように設置された、歩行者専用のウッドデッキを歩きながら、マングローブなど南国らしい自然を楽しめるエリアです。
足を進めると、途中から桟橋が海の上にかかり、サンゴ礁の瓦礫や岩浜、海藻で生い茂っているエリアや浅瀬の時だけ上陸できるサンドランドなどを見る事ができ、飽きのこない景色が広がっています。
途中には4階建くらいの展望台ジェジャウィ・タワーがあり、鳥たちのさえずりを聞きながら、辺りを一望する事ができます。
ペカン・クオリー
こちらは大きな湖になりますが、先述したウビン島の主要産業であった、花こう岩の採掘場の跡地に水が溜まってできた湖がこのペカン・クオリーです。
熱帯雨林に囲まれた綺麗な湖には心癒されますし、ここがかつては繁栄の根源だったと思うと、なんとも感慨深い気持ちになります。
ウビン島船着場から、たったの徒歩8分でたどり着くので、アクセス抜群ですよ。
ちなみに、湖の周りはケタム・マウンテンバイクパークというマウンテンバイク用のコースになっており、レンタサイクルでぐるっと一周する事ができます。
サイクリング中は至るところで、背の高いヤシの木や、バナナ・ジャックフルーツといった南国らしい熱帯フルーツも見られることでしょう。
坂も結構多いですし、未舗装の道を進むのはそこそこ疲れますが、良い運動といった感じです。
ウビン島カヤック
サイクリングなどで探索するのがメジャーなウビン島ではありますが、よりアクティブに冒険気分を味わいたいのであれば、カヤックで探検するのがオススメです。
ガイドと主に、ウビン島を北から南に向かって、カヤックで下っていきます。
ガイドが、カヤックの旅の道中で目にするマングローブなどの在来植物や野生動物について説明してくれるので、自分たちで島を回るよりは、かなり勉強になります。
カヤック初心者でも問題なくツアーに参加できるので、ご安心ください。
申し込みは、ウビン島船着場から徒歩2分の、下記場所にて。
Adventures by Asian Detours
No.34 Pulau Ubin, Singapore 508310
野生動物
▲ウビン島の野生の猿。やはり動きが人間と似ていて、手先が器用で、眺めていてとても面白かったです。
▲イノシシの親子。突進など獰猛なイメージがあるかもしれませんが、離れて見ている分には大丈夫です。
ウビン島の場所以外の魅力といえば、まちがいなく、そこらかしこを行き来する野生動物たちです。
野生の猿たちや、シンガポール本島では見る事が出来ない野生のイノシシに出会う事が出来ますよ!
彼らは道沿いの木々が生い茂っているところに生息しており、特に柵などで規制された場所ではないですが、人に慣れておりこちらが見ている分には全く危険な事はありませんので、安心してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回紹介した見どころ以外でも、島内をより細かく探検すると、現在住人の方が住んでいる木造建築の家や、昔住人が住んでいた朽ち果てた家、ムスリムや華僑のお墓など、ウビン島のかすかな生活感を感じられる場所もあったりします。
人工的な建築物や風景が多いシンガポールで、ここだけ時が止まったかのような、東南アジアの田舎らしい風景を見せてくれるウビン島。
シンガポールでの日々の喧騒に疲れたら、ぜひウビン島を訪れて、昔そのままの自然に癒されてみてはどうでしょうか?